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KHM 1:
蛙の王様
または
鉄のハインリヒ
(その1)

TEXT:cf. Brueder Grimm, p.39.


     Der Froschkoenig oder der eiserne Heinrich

(第1話のタイトル)蛙の王様、または、鉄のハインリヒ

(解析)
Der:定冠詞・単数・男性・1格.
Froschkoenig:(複合語)単数・男性・1格.
  Frosch:(男性)「蛙」.
  koenig:(男性)「王」.
oder:(並列の接続詞)「または」.
der:定冠詞・単数・男性・1格。
eiserne:eisern「鉄の」の弱変化・単数・男性・1格。
 * 形容詞には、述語的用法・付加語的用法・副詞的用法がある.
   述語的用法と副詞的用法とでは格変化しないが,
   付加語的用法(名詞を修飾)では、格変化をする.
   このとき、定冠詞(類)や不定冠詞(類)の有無によって,
   変化の仕方が異なる.
   ・冠詞類のない場合 → 強変化,
   ・定冠詞(類) → 弱変化,
   ・不定冠詞(類) → 混合変化,
   となる.
   ここでは定冠詞 der があるため、弱変化をする.
Heinrich:(人名、男性)単数・1格。


   In den alten Zeiten, wo das Wuenschen noch geholfen hat,

 古い時代、まだ願いごとがかなったその頃に、

(解析)
In:(ここでは3格支配、時間)「〜のときに」.
 * 前置詞には,
   (1) 2格支配のもの,
   (2) 3格支配のもの,
   (3) 4格支配のもの,
   (4) 3・4格支配のもの,
   があり,in は (4) 3・4格支配.
   このような前置詞は,
   ・(場所)「...で」を表わすときには,3格支配,
   ・(方向)「...へ」を表わすときには,4格支配,
   となる.
   ここでの場合のように,(時点・期間)「のうちに」というときには,
   3格支配となる.
den:定冠詞・複数・3格.
alten:alt「古い、昔の」の弱変化・3格・複数.
 * 定冠詞 den があるので,弱変化.
Zeiten:Zeit(女性,-en)「時間、時代」の複数・3格。
 * 名詞の複数形の作り方には5種類ある.
   (1) 同語尾,
   (2) -e,
   (3) -er,
   (4) -en,-n,
   (5) -s,
 * (また,変音(ウムラウト)するものと、しないものとがある).
 * 複数形の格変化は、3格で -n が付く.
   ただし、-(e)n 型と,-s 型では,何も付かない.
wo:(関係副詞、時)
das Wuenschen:「願いごと」(単数・中性・1格). (05/11/21――訂正)
   das:定冠詞・単数・中性・1格.
noch:(副詞)「まだ」.
geholfen hat:helfen「助ける,役立つ(3格支配)」の現在完了・3人称・単数.
   geholfen:helfen の過去分詞.
   hat:haben の3人称・単数.
 * 現在完了は,haben + 過去分詞.
   通常は,haben(定形)が第2位に,過去分詞が文末に置かれるが,
   ここでは,wo に導かれた関係文なので、定形が文末に置かれている.
 * 過去分詞は,通常,「ge- + 語幹 + -t」であるが,
   helfen は「強変化動詞」なので,幹母音を変化させてから,
   「ge- + 語幹 + -en」となる.


lebte ein Koenig, dessen Toechter waren alle schoen,

一人の王がいた、彼の娘たちは皆、美しかった。

(解析)
lebte:leben「生きている」の過去・3人称・単数。
 * 過去形は、「語幹 + -te」.
ein:不定冠詞・男性・1格。
Koenig:(男性)「王」の単数・1格。
dessen:指示代名詞・単数・男性・2格。
Toechter:Tochter(女性)「娘」の複数・1格。
waren:sein の過去・3人称・複数。
alle:不定代名詞 all「すべての」の複数、
  (定動詞の後で強調)「〜は皆」。
schoen:「美しい」(述語的)。


aber die juengste war so schoen, dass die Sonne selber, die doch so vieles gesehen hat, sich verwunderte, sooft sie ihr ins Gesicht schien.

だが、一番年下の娘がとりわけ美しかったので、 なにせそのような美しい娘たちは沢山見てきた太陽自身なのに、 娘の顔を照らし出したたびに、驚いたほどであった。

(解析)
aber:(並列の接続詞)「だが」.
die:定冠詞・単数・女性・1格.
juengste:jung「若い」の最高級 juengst.
   (弱変化・単数・女性・1格).
 * 比較級は -er,最高級は -st であるが,
   この jung のようにウムラウトするものもある.
 * 付加語的用法では、原級と同様の格変化をする.
war:sein の過去・3人称・単数.
so:(副詞、次の dass を示して)「〜なほど〜」.
schoen :「美しい」(述語的).
dass:(従属接続詞),
  so...,dass...の形で、「〜なくらいに〜」。
die:定冠詞・単数・女性・1格。
Sonne:(女性)「太陽」の単数・1格。
selber = selbst:指示代名詞「...自身」。
die:定関係代名詞・単数・女性・1格。
  先行詞 = die Sonne doch:(副詞)「しかし」。
so:(副詞)「そのような」。
vieles:(不定代名詞)viel「多くの」の強変化・単数・中性・4格。
 * 形容詞的変化.
gesehen hat:sehen「見る」の現在完了・3人称・単数。
   gesehen:sehen(強変化動詞)の過去分詞.
   hat:haben の3人称・単数.
 * 現在完了は,haben + 過去分詞.
 * 強変化動詞の過去分詞は,幹母音を変化させてから,
   「ge- + 語幹 + -en」.
sich verwunderte:verwundern「驚かせる」の再帰動詞的用法(+4格),
  過去・3人称・単数。
 * 過去形 = 語幹 + -te.
sooft:(従属接続詞)「...するたびごとに」.
sie:人称代名詞・単数・3人称・女性・1格.
  = die Sonne.
ihr:人称代名詞・単数・3人称・女性・3格.
  = die Tochter.
 * 「彼女の顔を」(所有の3格).
ins:in + das(定冠詞・単数・中性・4格)
Gesicht:(中性)「顔」の4格。
schien:scheinen(強変化動詞)「照らしている」の過去・3人称・単数.


Nahe bei dem Schlosse des Koenigs lag ein grosser dunkler wald,

王の城の近くに、大きな暗い森が広がっていた。

(解析)
Nahe:(形容詞)「近い」(副詞的).
bei:(前置詞、3格支配)「...の近くに」.
dem:定冠詞・単数・中性・3格.
Schlosse:Schloss(中性,変音 -er)「城」の単数・3格.
 * -e 型,-er 型,混合変化名詞では,
   単数・3格で,-e が付くことがある.
des:定冠詞・単数・男性・2格.
Koenigs:Koenig(男性)「王」の単数・2格.
lag:liegen(強変化)「横たわる、広がっている」の過去・3人称・単数.
ein:不定冠詞・男性・1格。
grosser:gross「大きい」の混合変化・単数・男性・1格.
 * 不定冠詞(類)の付くときは,混合変化.
dunkler:dunkel「暗い」の混合変化・単数・男性・1格.
wald:(男性)「森」の単数・1格。


und in dem Walde unter einer alten Linde war ein Brunnen:

そして、その森の中の一本の菩提樹の老木の根元に、泉があった。

(解析)
und:(並列の接続詞)「そして」.
in:(前置詞,3・4格支配,ここでは3格支配)「...の中に」.
dem:定冠詞・単数・男性・3格.
Walde:wald(男性)「森」の単数・男性・3格.
unter:(前置詞、ここでは3格支配)「...の下に」.
einer:不定冠詞・女性・3格.
alten:alt「年老いた」の混合変化・単数・女性・3格.
 * 不定冠詞(類)の付くときは,混合変化.
Linde:(女性)「ヨウシュボダイジュ」の単数・3格.
war:sein の過去・3人称・単数.
ein:不定冠詞・単数・男性・1格.
Brunnen:(男性)「泉」の単数・1格.


wenn nun der Tag sehr heiss war,

さて、非常に暑い日中には決まって、

(解析)
wenn:(従属接続詞)「...すると、...たびに」.
nun:(副詞)「今,さて」.
der:定冠詞・単数・男性・1格.
Tag:(男性)「日、昼間」の単数1格.
sehr:(副詞)「非常に」.
heiss:「暑い」(述語的).
war:sein の過去・3人称・単数.


so ging das Koenigskind hinaus in den wald und setze sich an den Rand des kuehlen Brunnens:

王女は森の奥深くへと出かけて行き、 そして、涼しい泉のほとりに座った。

(解析)
so:(副詞的接続詞)「そうすれば、そこで」(wenn 〜 を受けて).
ging...hinaus:(分離動詞)hinaus|gehen「外に出る」?
   ging:gehen(強変化)「行く」の過去・3人称・単数.
   hinaus-:(副詞,または,接頭)「(こちらから向こうの)外へ」.
das:定冠詞・単数・中性・1格.
Koenigskind:(複合語);
    Koenigs:「王の」
  + Kind:(中性)「子供」
  = 「王子」または「王女」の単数・1格。
  * (ここでは定冠詞が付いているため、前出の「王の娘(王女)」).
in:(前置詞,ここでは4格支配)「...の中へと」.
den:定冠詞・単数・男性・4格.
wald:(男性)「森」の単数・4格.
setze:setzen(+ sich 4格)「座る」の過去・3人称・単数.
  * 再帰動詞.
sich:再帰代名詞・単数・3人称・4格.
an:(前置詞、ここでは4格支配)「...のそばへ」.
den:定冠詞・単数・男性・4格.
Rand:(男性)「へり」の4格.
des:定冠詞・単数・男性・2格.
kuehlen:kuehl「涼しい」の弱変化・単数・男性・2格.
 * 定冠詞が付いているので弱変化.
Brunnens:Brunnen(男性)「泉」の単数・2格.


und wenn sie Langeweile hatte,

そして、彼女が退屈したときには決まって、

(解析)
wenn:(従属接続詞)「...すると、...たびに」.
sie:人称代名詞・単数・3人称・1格・女性.
Langeweile:(女性)「退屈」の単数・4格.
  + haben「退屈する」.
hatte:haben の過去・3人称・単数.


so nahm sie eine goldene Kugel,

彼女は金のまりを取り出した。

(解析)
so:(副詞的接続詞)「そうずれば、そこで」(wenn 〜 を受けて).
nahm:nehmen(強変化)「取り出す」の過去・3人称・単数.
sie:人称代名詞・単数・3人称・1格・女性.
eine:不定代名詞・女性・4格.
goldene:golden「金の」の混合変化・単数・女性・4格.
 * 不定冠詞が付いているので混合変化.
Kugel:(女性)「球、ボール」の単数・4格.


warf sie in die Hoehe und fing sie wieder;

そのまりを高く投げては、捕らえた。

(解析)
warf:werfen(強変化)「投げる」の過去・3人称・単数.
sie:人称代名詞・単数・3人称・4格・女性(→ Kugel).
in:(ここでは4格支配).
die:定冠詞・単数・女性・4格.
Hoehe:(女性)「高さ」の単数・4格.
fing:fangen(強変化)「捕らえる」の過去・3人称・単数.
sie:人称代名詞・単数・3人称・4格・女性(→ Kugel).
wieder:(副詞)「また、再び」.


und das war ihr liebstes Spielwerk.

そして、それが彼女の一番お気に入りの遊び方だった。

(解析)
das:指示代名詞・単数・中性・1格.
war:sein の過去・3人称・単数.
ihr:(所有代名詞)「彼女の」の単数・中性・1格.
liebstes:lieb「愛する」の最高級・混合変化・単数・中性・1格.
 * 所有代名詞は不定冠詞類なので,混合変化.
Spielwerk:(複合語);
    Spiel:(中性)「遊び」,
  + Werk:(中性)「仕事、作業、行為、作品」,
  = 「遊び方」または「おもちゃ」.


   Nun trug es sich einmal zu,

ところが、あるとき、こんなことがあった。

(解析)
Nun:(副詞)「今、ところが」.
trug...zu:(分離動詞)zu|tragen(+ sich 4格)「起る」の,
   過去・3人称・単数,
   trug:tragen(強変化)「運ぶ」の過去.
   zu-:(接頭,方向)
   sich:再帰代名詞・3人称・単数・4格.
es:人称代名詞・3人称・単数・中性・1格.
   次の dass 〜を受けて「...ということ」.
einmal:(副詞)「昔、あるとき」.


dass die goldene Kugel der Koenigstochter nicht in ihr Haendchen fiel,

というのも、王女の金のまりが、 彼女の小さな手の中には落ちなかった。

(解析)
dass:(従属接続詞、上の es を受けて)「...ということ」.
die:定冠詞・単数・女性・1格。
goldene:golden「金の」の弱変化・単数・女性・1格.
 * 定冠詞が付いているので弱変化.
Kugel:(女性)「球、ボール」の単数・1格.
der:定冠詞・単数・女性・2格.
Koenigstochter:(複合語);
    Koenigs:「王の」+ Tochter:(女性)「娘」
  = 「王女」の単数・2格.
nicht:(副詞,否定).
in:(ここでは4格支配).
ihr:(所有代名詞)「彼女の」の単数・中性・4格.
Haendchen:
    Hand(女性)「手」
  + ...chen(中性)「小さいもの、かわいいもの」(*)
  の単数・4格.
 (*) 基礎語の母音 a, o, u, au はたいてい変音する.
fiel:fallen(強変化)「落ちる」の過去・3人称・単数.


das sie in die Hoehe gehalten hatte,

その小さな手を、彼女は、高くかかげていたのに。

(解析)
das:定関係代名詞・単数・中性・4格.
  (先行詞 → Haendchen)
sie:人称代名詞・3人称・単数・女性・1格.
in:(ここでは4格支配).
die:定冠詞・単数・女性・4格。
Hoehe:(女性)「高さ」の単数・4格.
gehalten...hatte:halten(強変化)「つかんでいる、(方向・姿勢を)「保つ」
  の過去完了・3人称・単数.
 * 過去完了 = haben の過去形 + 過去分詞.
   gehalten:halten の過去分詞,
   hatte:haben の過去・3人称・単数.


sondern vorbei auf die Erde schlug und geradezu ins Wasser hineinrollte.

(その小さな手の中には落ちずに)すり抜けて、 地面に当たった、 そして、まっしぐらに、水の中へと転がり込んだ。

(解析)
sondern:(並列の接続詞、否定文の後で)「...ではなくて」.
vorbei:(副詞)「通り過ぎて」.
auf:(前置詞、ここでは4格支配)「...の上へと」.
die:定冠詞・単数・女性・4格.
Erde:(女性)「地面」の単数・4格.
schlug:schlagen(強変化)「打つ」の過去・3人称・単数.
geradezu:(副詞)「まさに、まっすぐに」.
ins:in + das 定冠詞・単数・中性・4格.
Wasser:(中性)「水」の単数・4格.
hineinrollte:(分離動詞)hinein|rollen「転がり込む」の過去・3人称・単数.
   hinein-:(接頭)「(こちらから・向こうの)中へ」,
   rollte:rollen「転がる」の過去,
 * 過去形 = 語幹 + -te.


Die Koenigstochter folgte ihr mit den Augen nach,

王女は、まりの行方を目で追った。

(解析)
Die:定冠詞・単数・女性・1格.
Koenigstochter:(複合語);
    Koenigs:「王の」+ Tochter:(女性)「娘」
  = 「王女」の単数・1格.
folgte...nach:(分離動詞)nach|folgen(3格の)「あとを追う」,
   過去・3人称・単数.
  (*)mit den Augen folgen:「目で追う」.
   folgte:folgen「ついて行く」の過去(* 語幹 + -te),
   nach-:(接頭)「後続」.
ihr:人称代名詞・3人称・単数・女性・3格.
  (→ Kugel).
mit:(前置詞、3格支配、道具・手段)「...で」.
den:定冠詞・複数・3格.
Augen:Auge(中性)「目」の複数・3格.


aber die Kugel verschwand,

だが、まりは姿をくらました。

(解析)
aber:(並列の接続詞)「しかし」.
die:定冠詞・単数・女性・1格.
Kugel:(女性)「球、ボール」の単数・1格.
verschwand:verschwinden(強変化)「消える」の過去・3人称・単数。
   cf.schwinden(強変化)「消える」.


und der Brunnen war tief,so tief,

そして、その泉は、あまりに深かったので、

(解析)
der:定冠詞・単数・男性・1格.
Brunnen:(男性)「泉」の単数・1格.
war:sein の過去・3人称・単数.
tief:「深い」(述語的).
so:(副詞、次の dass を示して)「...なほど...」.


dass man keinen Grund sah.

底なんて、少しも見えなかった。

(解析)
dass:(従属接続詞).
  (*)so...dass の形で、「...なほど...」.
man:(不定代名詞,単数・1格のみ、一般に)「人々、だれも」.
keinen:kein(不定代名詞)「一つも〜ない」の単数・男性・4格.
Grund:(男性)「土地,底」の単数・4格,
sah:sehen(強変化)「見る、見える」の過去・3人称・単数.


Da fing sie an zu weinen und weinte immer lauter und konnte sich gar nicht troesten.

すると彼女は泣き始めた、 そしてますます大きな声で泣いた、 そしてまったく、たちなおることができなかった。

(解析)
Da:(副詞)「すると」.
fing ... an:an|fangen(分離動詞)「はじめる」の過去・3人称・単数。
   fing:fangen(強変化)「捕らえる」の過去,
   an-:(接頭)「開始」.
sie:人称代名詞・3人称・単数・女性・1格。
zu weinen:「泣く」の不定詞.
weinte:weinen の過去・3人称・単数.
 * 過去 = 語幹 + -te.
immer:(副詞)「ますます」.
lauter:laut「大きな声の」の比較級.
 * 比較級 = + -er,最高級= + -st.
konnte:koennen(話法の助動詞)「できる」の過去・3人称・単数.
sich:再帰代名詞・3人称・単数・4格.
gar:(副詞,否定の強調)「まったく...でない」.
nicht:(副詞,否定).
troesten:「慰める」の不定詞.
   + sich(4格):自らを慰める,あきらめて元気を出す.


Und wie sie so klagte,

そして彼女がそんなに泣きわめいていたら、

(解析)
wie:(従属接続詞)「...するときに」。
sie:人称代名詞・3人称・単数・女性・1格。
so:(副詞)「そんなに」。
klagte:klagen「泣きながら悲しみを訴える」の過去・3人称・単数。


rief ihr jemand zu

誰か彼女に呼びかける者があった

(解析)
rief ... zu:(分離動詞)zurufen「呼びかける」の過去・3人称・単数。
ihr:人称代名詞・3人称・単数・女性・3格。
jemand:(不定代名詞)「誰か」。


‘was hast du vor,Koenigstochter,

「いったい、どうしようっていうの? 王女様、

(解析)
was:(疑問代名詞)「何」の4格。
hast ... vor:(分離動詞)vor|haben「するつもりである」の現在・2人称・単数。
du:人称代名詞・2人称・単数・1格。


du schreist ja dass sich ein Stein erbarmen moechte.’

あなたはそんなに泣いて、石にまで同情してもらいたいの?」

(解析)
du:人称代名詞・2人称・単数・1格。
schreist:schreien「叫ぶ」の現在・2人称・単数。
ja:(副詞、強調)。
dass:(従属接続詞、結果)。
sich:再帰代名詞・単数・4格。
ein:不定冠詞・男性・1格。
Stein:(男性)「石」の単数・1格。
erbarmen:「同情をひく」の不定詞。
   + sich(4格):「同情する」。
moechte:(話法の助動詞)moegen 「したい、してもらいたい」
   の接続法・2式・3人称・単数。


Sie sah sich um,

彼女は見回した、

(解析)
Sie:人称代名詞・3人称・単数・女性・1格。
sah sich um:(分離動詞)umsehen(+ sich 4格)「見回す」
   の過去・3人称・単数。


woher die Stimme kaeme,

いったいどこからその声がしてきたのか、と。

(解析)
woher:(疑問副詞、方向)「そこから」。
   * 間接疑問文。 die Stimme:「声」の単数・1格。
kaeme:kommen「来る」の接続法・2式・3人称・単数。


da erblickte sie einen Frosch,

すると彼女は一匹の蛙を目にとめた。

(解析)
da:(副詞)「すると」
erblickte:erblicken「目にとめる」の過去・3人称・単数。
sie:人称代名詞・3人称・単数・女性・1格。
einen:不定冠詞・男性・4格。
Frosch:(男性)「蛙」の単数・4格。


der seinen dicken haesslichen Kopf aus dem Wasser streckte.

その蛙は、ぶよぶよとした醜い頭を、水から出していた。

(解析)
der:定関係代名詞・単数・男性・1格。
   先行詞 → einen Frosch
seinen:(所有代名詞)「彼の」の単数・男性・4格。
dicken:dick「太い、腫れた」の混合変化・単数・男性・4格。
haesslichen:haesslich「醜い」の混合変化・単数・男性・4格。
Kopf:(男性)「頭」の単数・4格。
aus:(前置詞、3格支配)「...から」。
dem:定冠詞・単数・中性・3格。
Wasser:(中性)「水」の単数・3格。
streckte:strecken「伸ばす、出す」の過去・3人称・単数。


‘Ach,du bists,alter Wasserpatscher,’sagte sie,

「あら、あなたはあの、水のぱちゃぱちゃ屋さんじゃないの」 と彼女は言った。

(解析)
Ach:(感嘆)。
du:人称代名詞・2人称・単数・1格。
bists = bist's = bist es?
  bist:sein の2人称・単数。
  es:人称代名詞・3人称・単数・中性・1格。
alter:alt「老いた、旧知の」の強変化・単数・男性・1格。
Wasserpatscher:(複合語)
   Wasser:(中性)「水」。
   patschen:「(水を)ぱちゃぱちゃさせる」。
   ...er:(接尾)動詞・名詞などにつけて、 「人・物」を表わす男性名詞を作る。
sagte:sagen「言う」の過去・3人称・単数。
sie:人称代名詞・3人称・単数・女性・1格。


‘ich weine ueber meine goldene Kugel,

「私は、私の金のまりのことで泣いているのです。

(解析)
ich:人称代名詞・1人称・単数・1格。
weine:weinen「泣く」の1人称・単数。
ueber:(前置詞、ここでは4格支配、感情の誘因・対象)「...のことで」
meine:(所有代名詞)「私の」の単数・女性・4格。
goldene:golden「金の」の混合変化・単数・女性・4格。
Kugel:女性・単数・4格。


die mir in den Brunnen hinabgefallen ist.’

そのまりは、私の手から泉の中へと落ちちゃったの」

(解析)
die:定関係代名詞・単数・女性・1格。
   先行詞 → Kugel。
mir:人称代名詞・1人称・単数・3格。
   * (奪格の3格)「...から」?
in:(ここでは4格支配)。
den:定冠詞・単数・男性・4格。
Brunnen:(男性)「泉」の単数・4格。
hinabgefallen ist:(複合語)、現在完了・3人称・単数。
   hinab:(接頭)「上から下へ」を表わす分離動詞を作る。
   gefallen:fallen「落ちる」の過去分詞。


‘Sei still und weine nicht,’antwortete der Frosch,

「静かになさい、泣くのはおよし」とその蛙は答えた。

(解析)
Sei:sein の命令法。
still:「静かな、無言の」。
weine:weinen「泣く」の命令法。
nicht:(副詞、否定)。
antwortete:antworten「答える」の過去・3人称・単数。
der Frosch:男性・単数・1格。


‘ich kann wohl Rat schaffen,

「私には、上手くやれます。

(解析)
kann:(話法の助動詞)koennen「できる」の1人称・単数。
wohl:(副詞)「よく」。
Rat:(男性)「忠告、方策」の単数・4格。
   rat schaffen:「策を講ずる」 schaffen:「作る、成し遂げる」の不定詞。


aber was gibst du mir,

でも、あなたは私に何をくれますか、

(解析)
aber:(並列の接続詞)「だが」。
was:疑問代名詞・4格。
gibst:geben「与える」の2人称・単数。
du:人称代名詞・2人称・単数・1格。
mir:人称代名詞・1人称・単数・3格。


wenn ich dein Spielwerk wieder heraufhole?’

もし、私が、あなたの遊び道具を取って来て上に戻せたなら。」

(解析)
wenn:(従属接続詞)「もし...ならば」。
dein:(所有代名詞)「君の」の単数・中性・4格。
Spielwerk:das Spiel「遊び」 + das Werk「仕事」の単数・4格。
wieder:(副詞)「また」。
heraufhole:(複合語)、1人称・単数。
   herauf:(接頭)「こちらの上へ」を表わす分離動詞を作る。
   holen:「取って来る」。


TEXT:cf. Brueder Grimm, pp.39-40.


‘Was du haben willst,lieber Frosch,’sagte sie,

「あなたが欲しい物を、可愛い蛙さん」と彼女は言った。

(解析)
Was:不定関係代名詞・4格。
du:人称代名詞・2人称・単数・1格。
haben:(不定詞)
willst:(話法の助動詞)wollen「...したい」の2人称・単数。
lieber:lieb「愛する」の強変化・単数・男性・1格。
Frosch:男性・単数・1格。
sagte:sagen「言う」の過去・3人称・単数。
sie:人称代名詞・3人称・単数・女性・1格。


TEXT:cf. Brueder Grimm, p.40.


‘meine Kleider,meine Perlen und Edelsteine,

「私の洋服でも、私の真珠でも、宝石でも、

(解析)
meine:mein の複数・4格。
Kleider:(中性)kleid「衣服」の複数・4格。
Perlen:(女性)Perle「真珠」の複数・4格。
Edelsteine:(男性)Edelstein「宝石」の複数・4格。


auch noch die goldene Krone,die ich trage.’

その上、私がかぶっている金の冠だって」

(解析)
auch:(副詞)「...もまた、...ですら」
noch:(副詞)「さらに」
die:定冠詞・単数・女性・4格。
goldene:弱変化・単数・女性・4格。
Krone:(女性)「冠」の単数・4格。
die:定関係代名詞・単数・女性・4格。
   先行詞 → Krone。
   「その冠を私は身につけている」
trage:tragen「身につける」の1人称・単数。


Der Frosch antwortete‘deine Kleider,deine Perlen und Edelsteine und deine goldene Krone,die mag ich nicht:

その蛙は答えた「あなたの洋服も、あなたの真珠も宝石も、 あなたの金の冠も、そんなものを私は望みません。

(解析)
Der Frosch:単数・男性・1格。
antwortete:antworten「答える」の過去・3人称・単数。
deine:所有代名詞・複数・4格。
Kleider:(中性)Kleid「衣服」の複数・4格。
Perlen:(女性)Perle「真珠」の複数・4格。
Edelsteine:(男性)Edelstein「宝石」の複数・4格。
deine goldene Krone:混合変化(golden)・単数・女性・4格。
die:指示代名詞・複数・4格。
mag:(話法の助動詞)moegen「...したい」の1人称・単数。
  * 本動詞 haben 省略。


aber wenn du mich lieb haben willst,

でももし、あなたに、 私のことを好きになってくれる気があるのなら、

(解析)
aber:(並列の接続詞)「だが」。
wenn:(従属接続詞)「もし...ならば」。
du:人称代名詞・2人称・単数・1格。
mich:人称代名詞・1人称・単数・4格。
lieb:「愛する」。
haben:不定詞。
willst:(話法の助動詞)wollen「...しようと思う」の2人称・単数。


und ich soll dein Geselle und Spielkamerad sein,

私をあなたのお仲間に、遊び友達にして欲しい、

(解析)
soll:(話法の助動詞)sollen「...して欲しい」の1人称・単数。
dein:(所有代名詞)「君の」の単数・男性・1格。
Geselle:(男性)「仲間」の単数・1格。
Spielkamerad:(男性)「遊び友達」の単数・1格。
sein:不定詞。


an deinem Tischlein neben dir sitzen,

あなたのかわいい食卓の、あなたの隣へ座らせて(欲しい)、

(解析)
an:(前置詞、ここでは3格支配)「...に接して」。
  am Tisch sitzen:テーブルにつく。
deinem:(所有代名詞)単数・中性・3格。
Tischlein:中性・単数・3格。
  Tisch:(男性)「食卓」
  ...lein:(接尾、指小辞、中性)
neben:(前置詞、ここでは3格支配)「...の隣に」。
dir:人称代名詞・2人称・単数・3格。
sitzen:「座る」の不定詞。


von deinem goldenen Tellerlein essen,

あなたの金のかわいいお皿で食べさせて(欲しい)、

(解析)
von:(前置詞、3格支配)「...によって」
deinem:(所有代名詞)単数・中性・3格。
goldenen:golden の混合変化・単数・中性・3格。
Tellerlein:中性・単数・3格
  Teller:(男性)「皿」。
  ...lein:(接尾、指小辞、中性)
essen:「食べる」の不定詞。


aus deinem Becherlein trinken,

あなたのかわいいコップから飲ませて(欲しい)、

(解析)
aus:(前置詞、3格支配)「...から」。
deinem:(所有代名詞)単数・中性・3格。
Becherlein:中性・単数・3格。
  Becher:(男性)「カップ」
  ...lein:(接尾、指小辞、中性)
trinken:「飲む」の不定詞。


in deinem Bettlein schlafen:

あなたのかわいいベッドで眠らせて(欲しい)。

(解析)
in:(ここでは3格支配)
deinem:(所有代名詞)単数・中性・3格。
Bettlein:中性・単数・3格。
  Bett:(中性)「ベッド」
  ...lein:(接尾、指小辞、中性)
schlafen:「眠る」の不定詞。


wenn du mir das versprichst,

もし、あなたが、私に、このことを約束するならば、

(解析)
wenn:(従属接続詞)「もし...ならば」。
du:人称代名詞・2人称・単数・1格。
mir:人称代名詞・1人称・単数・3格。
das:指示代名詞・単数・中性・4格。
versprichst:versprechen「約束する」の2人称・単数。


so will ich hinuntersteigen und dir die goldene Kugel wieder heraufholen.’

そうすれば私は、あちらへ降りていって、またあなたの元に、 その金のまりを、取って上がって来ることにします。

(解析)
so:(副詞、接続詞的)「そうすれば」。
will:(話法の助動詞、意志)wollen の1人称・単数。
hinuntersteigen:(複合語)、不定詞。
  hinunter...:(接頭)「向こうの下へ」を表わす分離動詞を作る。
  steigen:「降りる」。
dir:人称代名詞・2人称・単数・3格。
die:定冠詞・単数・女性・4格。
goldene:弱変化・単数・女性・4格。
Kugel:女性・単数・4格。
wieder:(副詞)「また」。
heraufholen:(複合語)、不定詞。
  herauf...:(接頭)「こちらの上へ」を表わす分離動詞を作る。
  holen:「取って来る」。


‘Ach ja,’sagte sie,‘ich verspreche dir alles, was du willst,

「ええ、いいわよ」と彼女は言った、 「あなたの望むものなら何だって、私はあなたに約束します。

(解析)
Ach:(間投詞)「ああ」。
ja:(副詞、肯定)。
sagte:sagen「言う」の過去・3人称・単数。
sie:人称代名詞・3人称・単数・女性・1格。
verspreche:versprechen「約束する」の1人称・単数。
dir:人称代名詞・2人称・単数・3格。
alles:(不定代名詞)「すべての」の単数・中性・4格。
was:不定関係代名詞・4格。
  * was は alles などの、不定代名詞を先行詞とする場合にも用いられる。
du:人称代名詞・2人称・単数・1格。
willst:(話法の助動詞)wollen の2人称・単数。
  haben が省略。


wenn du mir nur die Kugel wiederbringst.’

もしあなたが、私に、まりさえ戻してくれたなら」

(解析)
wenn:(従属接続詞、仮定)。
mir:人称代名詞・1人称・単数・3格。
nur:(副詞)「ただ...だけ」。
die Kugel:単数・女性・4格。
wiederbringst:wiederbringen「戻す」の2人称・単数。


Sie dachte aber‘was der einfaeltige Frosch schwaetzt,

彼女はしかし考えた、 「何をマヌケな蛙がしゃべってるのかしら」

(解析)
dachte:denken「考える」の過去・3人称・単数。
aber:(副詞)「しかし」。
was:疑問代名詞・4格。
der:定冠詞・単数・男性・1格。
einfaeltige:einfaeltig「愚かな」の弱変化・単数・男性・1格。
Frosch:男性・単数・1格。
schwaetzt:schwaetzen = schwatzen「しゃべる」の3人称・単数。


der sitzt im Wasser bei seinesgleichen und quakt,

蛙なんて、似たもの同士で水の中にいて、 ケロケロ鳴いてるものよ。

(解析)
der:定関係代名詞・単数・男性・1格。
  先行詞 → Frosch.
sitzt:sitzen「座る、いる」の3人称・単数。
im:in + dem,
  in:(ここでは3格支配)。
  dem:定冠詞・単数・中性・3格。
Wasser:中性・単数・3格。
bei:(前置詞、3格支配)「...の近くに」。
seinesgleichen:(不定代名詞、無変化)「彼・それのような人・物」。
quakt:quaken「(蛙などが)鳴く」の3人称・単数。


und kann keines Menschen Geselle sein.’

人間の仲間になんて、なれっこないわ」

(解析)
kann:(話法の助動詞)koennen の3人称・単数。
keines:(否定冠詞)「なにも...ない」の単数・男性・2格。
Menschen:(男性、弱変化)Mensch「人間」の単数・2格。
Geselle:(男性)「仲間」。
sein:不定詞。



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