TEXT:cf. Brueder Grimm, p.180.
Die Bremer Stadtmusikanten
(第27話のタイトル)ブレーメンの町の音楽師たち
(解析)
Die:(定冠詞,複数・1格).
Bremer:(無変化)「ブレーメンの」,
Bremen:(中性)「ブレーメン」,
* -er:地名を形容詞化する語尾,このとき頭文字は大文字で書かれ,性数格を示す語尾変化は伴わない.
Stadtmusikanten:(男性)Stadtmusikant「町の音楽師」(複数),
Stadt:(女性)「都市」,
Musikant:(男性,弱変化名詞)「楽士」.
Es hatte ein Mann einen Esel,
ある男が一匹のロバを持っていた,
(解析)
Es:(人称代名詞,3人称・単数・中性・1格); * (文法上の主語,非人称的).
hatte:haben(過去・3人称・単数).
ein:(不定冠詞,男性・1格).
Mann:(男性)「人,男」(単数・1格); * この文の,実質的な主語.
einen:(不定代名詞,男性・4格).
Esel:(男性)「ロバ」(単数・4格).
der schon lange Jahre die Saecke unverdrossen zur Muehle getragen hatte,
そのロバは,もう長年,袋を根気よく粉引き小屋に運んでいた,
(解析)
der:(定関係代名詞,単数・男性・1格,先行詞 = Esel,「そのロバは」).
schon:(副詞)「もう」.
lange Jahre:「長年の間」(中性・複数・4格,副詞的),
lange :lang「長い」(強変化,複数・4格),
Jahr:(中性,強変化E式)「年」(複数・4格,副詞的・「時間の長さの4格」).
die:(定冠詞,複数・4格).
Saecke(ae ウムラウト):(男性,強変化変音E式)Sack「袋」(複数・4格).
unverdrossen:「根気のよい」(副詞的).
zur:(zu + der),
zu:(前置詞,+3格)「...に」,
der:(定冠詞,単数・女性・3格).
Muehle(ue ウムラウト):(女性)「粉引き小屋」(単数・3格).
getragen hatte:(過去完了・3人称・単数),
getragen:tragen「運ぶ」(過去分詞),
hatte:haben(過去・3人称・単数).
dessen Kraefte aber nun zu Ende gingen,
しかし今では,そのロバの力は,尽きていた.
(解析)
dessen:(定関係代名詞,単数・男性・2格,先行詞 = Esel,「そのロバの」).
Kraefte(ae ウムラウト):Kraft(女性,強変化変音E式)「力」(複数・1格).
aber:(並列の接続詞)「しかし」.
nun:(副詞)「今」.
zu:(前置詞,+3格,ここでは結果)「...になる」.
Ende:(中性,混合変化)「終わり」(単数・3格).
gingen:gehen(強変化動詞)「行く,...にまで達する」(過去・3人称・複数),
zu Ende gehen「終りになる,尽きる」.
so dass er zur Arbeit immer untauglicher ward.
なので,そのロバは,仕事には次第に役立たなくなってきた.
(解析)
so:(従属の接続詞,結果,so dass の形で)「それで...,その結果」.
dass(エスツェット):(従属の接続詞,結果,so dass の形で)「...ので,...の結果」.
er:(人称代名詞,3人称・単数・男性・1格,「そのロバは」).
zur:(zu + der),
zu:(前置詞,+3格)「...に」,
der:(定冠詞,単数・女性・3格).
Arbeit:(女性)「仕事」(単数・3格).
immer:(副詞,比較級を修飾)「ますます,いっそう」.
untauglicher:untauglich「役立たない」(比較級).
ward:werden「...になる」(過去(古形)・3人称・単数).
Da dachte der Herr daran,
そこで主人は〔以下のように〕意図した,
(解析)
Da:(副詞)「それで」.
dachte...daran:
dachte:denken(混合変化動詞)「考える」(過去・3人称・単数),
+ an (4格) または + daran:「...ことを思う,意図する」,
an:(前置詞,3/4格,ここでは4格)「...に」,
da- または dar- +(前置詞):
代名詞が前置詞と共に用いられる場合の代用形,
前置詞が母音ではじまる場合は,dar- となる,
daran:以下の不定詞句を指す,
* 前置詞 + 不定詞 → da(r) + 前置詞 + 不定詞.
der Herr:(男性)「主人」(単数・1格).
ihn aus dem Futter zu schaffen,
そのロバを餌から離しておくことを〔= 餌を与えないようにすることを, (= 処分することを,意図した)〕,
(解析)
ihn:(人称代名詞,3人称・単数・男性・4格,「そのロバを」).
aus:(前置詞,+3格)「...から」.
dem:(定冠詞,単数・中性・3格).
Futter:(中性,強変化同尾式)「餌」(単数・3格).
zu schaffen:「つくる,する,とりのける」(zu 不定詞).
aber der Esel merkte,
しかし,ロバは〔dass 以下のことに〕気づいた,
(解析)
aber:(並列の接続詞)「しかし」.
der Esel:(男性,強変化同尾式)「ロバ」(単数・1格).
merkte:merken「気づく」(過去・3人称・単数).
dass kein guter Wind wehte,
よい風が一つも吹いていなかったこと 〔= 風向きが悪くなったこと(に気づいた)〕,
(解析)
dass(エスツェット):(従属の接続詞)「...ということ」.
kein:(否定詞,不定冠詞類)「一つも...ない」(単数・男性・1格).
guter:gut「よい」(混合変化,単数・男性・1格).
Wind:(男性,強変化E式)「風」(単数・1格).
wehte:wehen「(風が)吹く」(過去・3人称・単数).
lief fort und machte sich auf den Weg nach Bremen:
〔ロバは〕逃げ去った,そして,ブレーメンへと出発した.
(解析)
lief fort:(分離動詞)fort|laufen「逃げる」(過去・3人称・単数).
machte:machen「つくる,にする,させる,行く」(過去・3人称・単数),
sich auf den Weg machen「出発する」.
sich:(再帰代名詞,3人称・単数・4格).
auf:(前置詞,3/4格,ここでは4格)「...に向かって」.
den:(定冠詞,単数・男性・4格).
Weg:(男性,強変化E式)「道,道のり」(単数・4格).
nach:(前置詞,+3格)「...に向かって」.
Bremen:(中性,地名)「ブレーメン」.
* 地名の多くは中性.冠詞はつけない.変化は2格に -s をつけるのみ.
dort,meinte er,koennte er ja Stadtmusikant werden.
あそこなら――ロバは思った――自分もきっと町の音楽師になれるだろう,と.
(解析)
dort:(副詞)「あそこに」.
meinte er:(挿入句,主文)
* 間接話法の引用文中に,主文が挿入されている.そのため,倒置法になっている.
meinen:「...と思う」(過去・3人称・単数).
er:(人称代名詞,3人称・単数・1格).
koennte:koennen(話法の助動詞)「できる」(接続法2式・現在・3人称・単数)
er:(人称代名詞,3人称・単数・男性・1格).
ja:(副詞,強意).
Stadtmusikant:(男性)「町の音楽師」.
Stadt:(女性,強変化変音E式)「都市」.
Musikant:(男性,弱変化名詞)「楽師」.
werden:「...になる」(不定詞).
Als er ein Weilchen fortgegangen war,
そのロバが立ち去って少しすると,
(解析)
Als:(従属の接続詞)「...したときに,...すると」.
er:(人称代名詞,3人称・単数・男性・1格 = der Esel「そのロバが」).
ein:(不定冠詞,中性・4格)
Weilchen:(中性,Weile の縮小形)「ちょっとの間」(単数・4格,副詞的),
Weile:(女性)「時間」,
-chen:(中性の縮小名詞を作る).
* 時・所を表わす名詞は,2・4格で副詞的に用いられる.
fortgegangen war:(分離動詞,sein支配)fort|gehen「立ち去る」,(過去完了・3人称・単数),
* 分離動詞の過去分詞 = 基礎動詞の過去分詞 + 前綴り,
gehen → gegangen → fortgegangen,
war:sein(過去・3人称・単数).
fand er einen Jagdhund auf dem Wege liegen,
そのロバは,一匹の猟犬が途中で横になっているのを見つけた,
(解析)
fand...liegen:「横になっているのを見つけた」,
fand:finden「見つける」(過去・3人称・単数); * (話法の助動詞に準ずる動詞),
liegen:「横になっている」(不定詞),
* 従属の接続詞に導かれた副文を文頭に置くと,
副文は文成分の一つとみなされ,定動詞は第2位,すなわち,副文の直後,主文の文頭に置かれる.
er:(人称代名詞,3人称・単数・男性・1格 = der Esel「そのロバが」).
einen:(不定冠詞,男性・4格).
Jagdhund:(男性,強変化E式)「猟犬」(単数・男性・4格),
Jagd:(女性)「狩猟」,
Hund:(男性)「犬」.
auf:(前置詞,3・4格支配,ここでは3格)「...の上に」.
dem:(定冠詞,単数・男性・3格).
Wege:(男性,強変化E式)Weg「道」(単数・3格),
auf dem Wege:「途中で」.
der jappte wie einer,
その猟犬は,あたかも〔以下のような〕人のようにあえいでいた,
(解析)
der:(指示代名詞,単数・男性・1格,= Jagdhund「その猟犬は」).
jappte:(俗)jappen = japsen「あえぐ」(過去・3人称・単数).
wie:(従属の接続詞)「まるで...のように」.
einer:(不定代名詞,単数・男性・1格).
der sich muede gelaufen hat.
〔その人とはすなわち〕走りつかれた〔人のようにあえいでいた〕.
(解析)
der:(定関係代名詞,単数・男性・1格,先行詞 = einer).
sich:(再帰代名詞,単数・4格).
muede(ue ウムラウト):「疲れた」,
sich(4) muede laufen:「走りつかれる」.
gelaufen hat:(現在完了・3人称・単数),
gelaufen:laufen「走る」(過去分詞),
hat:haben(3人称・単数),
* laufen + sich(4) + (様態):「走って(ある状態に)なる」; * (自動詞の再帰的用法).
‘Nun,was jappst du so,Packan?’
「おや,どうして君はそんなにあえいでるの,猟犬君?」
(解析)
was:ここでは warum の意(俗語).
warum:「なぜ」.
jappst:jappen(俗)= japsen(2人称・単数).
japsen:「あえぐ」.
Packan:(男性,俗語)「猟犬」.
* an|packen (分離動詞)「襲いかかる」の命令形,‘Pack an! かかれ(犬への命令)’より,
「獲物にとびかかれ君」=「猟犬君」
fragte der Esel.
とロバは尋ねた.
(解析)
fragte:fragen「質問する」(過去・3人称・単数).
‘Ach,’ sagte der Hund,
「ああ」と犬は言った.
(解析)
sagte:sagen「言う」(過去・3人称・単数).
‘weil ich alt bin und jeden Tag schwaecher werde,
〔なぜなら〕僕は年寄りで,日ごとに弱り〔・・・だから〕
(解析)
weil:(従属の接続詞,理由)「・・・なので」(kann までが理由をあらわす従属節).
alt:「年とった」.
jeden Tag:「毎日」(単数・男性・4格).
jeden:jeder「各々の」.
Tag:(男性,強変化E式)「日」.
* 時をあらわす名詞の4格は副詞的に用いられる.
schwaecher(aeウムラウト):schwach「弱い」(比較級).
werde:werden「になる」(1人称・単数).
auch auf der Jagd nicht mehr fort kann,
その上,猟でも,もはや走ることができないので,〔以下,主節〕
(解析)
auch:(副詞)「そのうえ」.
auf:(前置詞,3・4格支配,ここでは3格支配)「・・・で」.
der:(定冠詞,単数・女性・3格).
Jagd:(女性,弱変化)「猟」(単数・3格).
nicht mehr:「もう・・・ではない」.
mehr:viel「大いに」の比較級.
fort kann:
fort:(副詞)「去って」.
fort koennen「走ることができる」.
kann:koennen(1人称・単数).
* ‘話法の助動詞が運動の方向を表わす副詞を伴っている時は,
・・・運動を表わす本動詞・・・は省略することができる.
hat mich mein Herr wollen totschlagen,
私の主人が私をたたき殺そうとした,
(解析)
hat...wollen totschlagen:
hat:haben(時称の助動詞,過去分詞,ここでは wollen と共に完了形をつくる,3人称・単数・現在完了).
wollen:wollen(話法の助動詞)「...しようと思う」,(不定詞と同形の過去分詞).
* 話法の助動詞は2種類の過去分詞をもつ.
ここでは不定詞 totschlagen を伴っているので,不定詞と同形の過去分詞を用いている.
単独で動詞として用いられる場合には,規則的な形の過去分詞 gewollt を用いる).
tot|schlagen:(分離動詞)「たたき殺す」(不定詞).
* 従属節が文頭に置かれているため,従属節がひとつの文成分とみなされ,
定形動詞は主文の最初に,すなわち,文全体としてみれば第2位に置かれてる.
* totschlagen wollen が正規の語順.口調の関係だろう(cf.三浦).
mich:(人称代名詞,1人称・単数・4格).
mein:(所有形容詞,不定冠詞類)「私の」(男性・1格・単数).
Herr:(男性)「主人」(単数・1格).
da hab ich Reissaus genommen;
それで私は逃げ出した;
(解析)
da:(副詞)「それで」
hab...genommen:
hab:= habe(時称の助動詞 haben,1人称・単数,genommen と共に現在完了).
genommen:nehmen「取る」(過去分詞).
Reissaus(エスツェット):(男性)「逃亡」(4格・単数).
* Reissaus nehmen 「逃げ出す」.
aber womit soll ich nun mein Brot verdienen?’
でもいったい何をやって食いぶちをかせいだらよいのだろう?」
(解析)
aber:「しかし」.
womit:= mit was
mit:(前置詞,3格支配)「といっしょに,でもって」.
was:(疑問代名詞)「何」.
* 疑問代名詞 was が前置詞をとるときには,wo- または wor- + 前置詞の融合形を用いる.
soll...verdienen:
soll:(話法の助動詞)sollen「...すべきである」,
(疑問文で)「・・・したらよいのか(わからない)」,(1人称・単数).
verdienen:「かせぐ」(不定詞)
nun:(疑問文で)「いったい」.
mein(中性・4格・単数)
Brot:(中性,強変化E式)「パン,食べ物」(4格・単数).
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